ウールに適した洗い方
汚れを落とすには、洗濯機での水洗いが最も手っ取り早いですが、ウール素材の衣類はそういうわけにいきません。
ウロコ状に構成される繊維質であることから、湿り気や水圧でダメージを受けやすく、その結果縮みや型崩れ等の品質劣化を招いてしまうからです。
ゆえにウール素材の洗浄は、クリーニングの出番となってきます。
手洗い禁止や”ドライ”のマークがタグに表示されているように、ウールに最も適した洗い方はドライクリーニングです。
ドライクリーニングは、水を一切使用せずに石油系の溶剤のみで洗浄します。
石油系の溶剤は汚れ落としにのみ特化していて、不必要な摩擦や刺激はゼロに等しいという特長を持っています。
なのでウールのようなデリケートな素材であっても、皮脂や大気汚れ落としに焦点を絞り、キレイに洗い流します。
まさに、合理的かつ的確な技術と言えるでしょう。
ウール素材を水洗いしてはいけない理由
セーターやニットなどウール素材の衣類は、クリーニング店へ持って行ってお任せするのが一般的です。
そもそも、タグにドライクリーニングを示唆するマークが付いており、水洗いが推奨されていないのは明らかです。
その最たる理由は、ウールの繊維質にあります。
繊維質の表面を顕微鏡などで見ると、魚の鱗と酷似しています。
つまり、バラバラになりやすい性質であるということです。またウールの繊維質は、乾燥状態によって均一性が保たれているため、水に浸すと鱗が複雑に絡み合い均衡が一気に崩れてしまいます。
「フェルト収縮」と呼ばれる上記の現象は、縮みや型崩れとなってあらわれます。
対するドライクリーニングは、ウールの繊維質に悪影響を及ぼさない有機溶剤を水代わりに使用します。
ゆえに、ダメージが一切見られない仕上がりとなります。