クリーニング技術の基本、ドライクリーニング
ドライクリーニングは、家庭で洗濯すると色落ちや縮みなどが起きやすい素材の衣類を対象とした、プロの技術です。1800年代にフランスで発祥したとされ、水ではなく揮発性有機溶剤が用いられます。
揮発性有機溶剤は、ドライクリーニング専用に開発されたものです。
油性汚れ落としに強い一方で、品質の劣化は起こりにくいという特長を有しています。
例えば、衣類のポケットからティッシュを出し忘れたまま洗濯してしまうと、ボロボロのティッシュが衣類に絡まり合って見るも無残な状態となります。
しかしドライクリーニングであれば、ティッシュにはなんの変化ももたらさないほど、負担のかからない洗浄方法です。
ドライクリーニングの利点について
洗浄に水を要しないことからネーミングされたドライクリーニングは、パークロロエチレンや石油系などの有機溶剤による洗浄です。
ヒトの身体から付着した皮脂や排気ガスなど、日常生活において無縁でいられない油汚れにドライクリーニングは適しています。
また油脂を介した不溶性粒子の付着なども、ドライクリーニングによりその原因からなくすことが可能です。
さらに、強力な洗浄力にも関わらず、素材に対する摩擦や衝撃はほとんどありません。
ゆえに、型崩れが不安な衣類や色落ちが心配な生地も、ドライクリーニングであれば安心して任せられます。
ドライクリーニングの全工程
ドライクリーニングの店は、顧客にとって店員と直にやりとりするのが持ち込みと引き取りの前後のみなので、実際どのような工程なのか世間ではほとんど知られていません。
衣類を預かってから店内で行われるドライクリーニングの
最初の工程は、「マーキング」です。
顧客の苗字を記したタグを衣類につけます。
第2工程が「分類」です。
色の違いや汚れの頻度で仕分けを行い、ペンなどがポケットに入ったままでないかもチェックします。
第3工程は「洗浄」です。
伸縮に影響せず、汚れもよく落ちる有機溶剤を用いて行います。
シミがある場合は、さらに個別に対処して抜き落とします。
第4工程でアイロンプレスによる「仕上げ」をすれば、あとは目視チェックと包装で、すぐにでも引き渡しが可能な状態となります。